「またクレームか…」「今日は行きたくない」
そんなふうに、朝が来るのが怖くなる時期がありました。
クレーム対応に追われる毎日。
現場はピリピリとした空気で、スタッフも私も笑顔を忘れていました。
配属されたのは、まさに“クレーム地獄”のような職場。
「なんで私が…?」と思いながらも、逃げることだけはしたくなかった——。
この記事では、

私がどん底の現場をどう立て直し、クレームゼロを実現したのか。
リーダーとしてのリアルな葛藤と、希望をつかむまでの再生ストーリーを綴ります。
あのときのことは、今も忘れられない


私が転職した先はクレームの山で、その残務処理や、残っているクレーム客への対応が日常でした。
とくに多かったクレーム内容は「何の連絡もこない」「品物が違う」「説明が不十分」「指定の日時に届かない」など、基本的な対応ミスに関するものでした。
そこに加え、適切な対応がなされず、「改善されていない」という印象が蓄積していたのです。
前任者は全員退職しており、新しいスタッフや応援スタッフ総出で一件一件に対応するも、現場は疲弊しきっていました。
当然の如く…その環境に何度も心が折れかけました。
入社3ヶ月が経ったある日、社長との面談の場が設けられました。
私は「このままでは会社の信用が失われてしまう」と感じ、辞める覚悟で現場スタッフの声や労働環境の厳しさを伝え、「変えてほしい!」と強く訴えました。
その結果、なぜかその部署のマネージャーに任命されたのです・・・!?。
「んっっっ!?」
「まさか、私が…?」
そう思いながらも、「やってやれないことはない、やらずにできるわけがない」と自分に言い聞かせ、これまでのチーム運営経験を武器にゼロからの挑戦を始めました。
経験も知識もゼロからのスタート。
他部署からは「ご愁傷様」と同情されるほどの問題部署でした。
逃げたくなった。でも逃げなかった理由


正直、辞めたいと思ったことは何度もあります。
職場は愚痴だらけ。
終わりの見えないクレーム処理。
新たな仕事の追加。
私も一緒になって愚痴を言いたくなりました。
でも一度言ってしまえば、堰を切ったように愚痴や弱音を言うのは明白でした。
心はすでに疲弊し、「どんでもないところに来てしまった…」と思うこともあり、涙が止まらなかったのを覚えています。
それでも続けられたのは…
- リーダーとして他部署とのつながりが生まれたこと
- 少しずつ心を開いてくれる仲間の存在
- 「理想の職場を自分でつくれるかもしれない」という小さな希望
その小さな希望だけが、私を支えてくれたのです。
向き合って気づいた「クレームの本当の意味」
クレームをくださるお客様の多くは、「期待していたのに裏切られた」と感じていました。
放置されたこと、誠意が感じられなかったことが、怒りに火をつけていたのです。
でも、丁寧に対応し、真摯に話を聞くと、 「分かってくれてありがとう」と言ってくださる方もいました。
クレームの裏には、「本当は信じたかった」という気持ちがある——
そのことに気づけたとき、私の対応も変わっていきました。
チームで変えた、クレームゼロへの道


まずはクレーム処理を最優先し、その後はスタッフとの対話に注力しました。
- 個人面談で気持ちを聞く
- 一人ひとりの良いところを言葉にして伝える
- 得意な分野を任せ、責任感を育てる
面談を重ねるごとに、スタッフの表情も少しずつ変わっていきました。
「こんなふうに任せてもらえたのは初めて」と言われた時、心から嬉しかったのを覚えています。
また、現場の“当たり前”を見直し、効率化の改善にも取り組みました。
「自分たちで気づき、改善できる」ようになったとき、クレームは自然と減っていきました。
最初は戸惑っていたスタッフも、回を重ねるごとに少しずつ自分の強みに自信を持つようになり、「こんなふうに任せてもらえるのは初めて」と話してくれたことも忘れられません。
失敗しても全て自分が責任を取る覚悟を持ち、安心して挑戦できる環境を整えました。
その結果、スタッフは自ら動き、効率的に業務を進めるようになっていきました。
あの経験が、今の私の軸になっている
リーダーになってから3ヶ月後、職場の空気が変わり始めました。
マイナス続きだった売上も改善され、離職者も減少。
そして2年目には「年間クレームゼロ」を達成することができました。
その経験は今の私の大きな自信となり、何一つ無駄なことはなかったと胸を張って言えます。
あのとき私が学んだのは、
「強い言葉」よりも「信じて任せること」がチームを変える。
部下を責めるより、信じて任せ、見守り、必要なときにサポートする。
それが、私の理想とするリーダー像です。
クレームに悩むあなたへ伝えたいこと
今、あなたがもしクレームに疲れて、心が折れそうになっているなら、どうか覚えていてください。
その裏にあるのは、「信頼したい」「応えてほしい」という思いです。
そして、それはあなたやチームに対する“信頼の証”でもあるのです。
向き合うのはつらいけれど、乗り越えた先に、必ず成長と信頼が残ります。
私もできました。
あなたにも、きっとできます。
まとめ


クレーム対応は、リーダーにとって精神的にも大きな負担になります。
でも、その裏側には「信頼したい」というお客様の本音がある。
逃げずに向き合ったからこそ、チームも自分も変わることができました。
この経験は、今の私の原点になっています。
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