
「資料まとめておいて」と言ったはずなのに、まったく違う形で仕上がってきた…
どうやって指示を出せば期待通りの結果になるのか知りたいです。
「ちゃんと伝えたはずなのに…なんでこうなるの?」
部下にお願いした仕事が、期待と全然違う形で返ってくる。
そんなモヤモヤ、あなたも経験ありませんか?
実は、指示がうまく伝わらない原因は、部下の能力不足ではなく、リーダーの“伝え方”にあることが多いんです。
リーダー歴10年以上の私ユリが、現場で実感した「伝わる指示の出し方」を、誰でも明日から使える具体例付きでお伝えします。
この記事では、指示が通じない理由を3つの「落とし穴」で解説したうえで、「すぐに伝わる」言葉の選び方を具体例付きでご紹介します。
「どう伝えればいいのか分からない…」と感じたら、まずこの記事を参考にしてみてください。



あなたのひと言が、部下の背中を押す力になります。
まずはコレ!伸びる指示フレーズを一気見


「また伝わらなかった……」と落ち込む前に、まずは“伸びる指示”の型を知りましょう。
ここでは、曖昧な言い方を「やる気を引き出す具体フレーズ」へ置き換えるコツを4つ紹介します。



実際に現場で成果を生む言い換え例をまとめました。
コツ1:行動・期限・成果物をセットで示す
具体的に「何を・いつまでに・どんな形で」やってほしいかを伝えると、部下は迷わずに動けるようになる。
「これ、お願い」と一言で済ませてしまうと、部下は「何を、いつまでに、どんな形でやればいいのか」が分からず、手が止まりがちです。
そのため、指示を出すときは「具体的な行動」「期限」「提出物の形」をセットで伝えるのが基本です。
たとえば、「資料まとめておいて」ではなく、「資料を5枚に整理して、金曜17時までにメールで送ってほしい」と伝えることで、内容・納期・方法が明確になり、部下は迷わず動けるようになります。



この“3点セット”を意識するだけで、業務のスピードも質もぐっと上がりました。
実際、ビジネスの現場では約4割の人が月に1回以上「指示のズレ」を経験し、そのたびに説明のし直しで時間が無駄になっているという調査もあります。
(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)
ビフォーアフターで「伝わる言い方」に変えてみよう!
💬 ダメな例(伝わりにくい指示)



「資料まとめておいて」
⬇️ これだと…
- 何の資料?
- どれくらい?
- いつまでに?



部下はこれでは動けず、確認が必要になります。
伝わる例(伸びる指示)



「資料を5枚に整理して、金曜の17時までに私にメールで送ってください」
ポイント
- 「何を」 → 資料を5枚に整理
- 「いつまでに」 → 金曜の17時まで
- 「どうやって」 → メールで提出
明確な指示で、迷いなく行動できる状態をつくれます。



このように具体的に伝えるだけで、行動のスピードも質も大きく変わりますよ!
コツ2:目的と期待をひと言添える
部下に指示を出すとき、「なぜそれが必要なのか」「どうなることを期待しているのか」を少しだけ伝えてあげる。
ただ「やっておいて」と頼むだけでは、部下にとっては“作業を押しつけられた”ように感じることがあります。
そこで大切なのが、「なぜそれをお願いするのか(目的)」と「どうなってほしいのか(期待)」を、ひと言添えることです。
たとえば、「顧客の信頼を得るために」や「あなたの経験を活かしてほしい」など、背景や想いを少し伝えるだけで、部下の納得感がぐっと高まります。



納得して動けると、自分なりの工夫も生まれやすくなり、ただの“作業”が“意味ある仕事”に変わっていきます。
ある職場調査では、社員の約半数が「自分に何を求められているのかが分かりづらい」と感じていて、それがやる気の低下につながっていると報告されています。
(AP News)
ビフォーアフターで「伝わる言い方」に変えてみよう!
💬 ダメな例(伝わりにくい指示)



「急ぎで見直して」
⬇️ これだと…
- 何をどう見直すのか不明確
- なぜ急ぐ必要があるのか伝わらない
- 単に急かされているように感じてしまう可能性も
伝わる例(伸びる指示)



「来週の顧客への提案で説得力を高めたいので、誤字をゼロにできるかチェックしてほしい」
ポイント
- 目的(WHY) → 顧客への提案で成果を出す
- 期待(WHAT) → 誤字ゼロを目指すチェック
- 伝え方 → 背景を伝えることで納得感とやる気が生まれる



部下にとって、「何を期待されているのか」がわかることは、安心して行動するための大事な土台になります。
コツ3:数字を入れて「どこまでやればOKか」を伝える
何をどこまでやればいいかを数字で示すと、部下は迷わずに動ける。
「なるべく早く」「適当にまとめて」などの曖昧な表現では、人によって受け取り方が変わり、ミスややり直しにつながりがちです。
そこで有効なのが、具体的な数字を使って「どれくらい」「いつまでに」などの基準を明確に示すことです。
たとえば、「できるだけ早く」ではなく「明日の正午までに3案提出して」や、「簡単に説明して」ではなく「5分以内で要点だけ話して」など。
数字があるだけで、部下はゴールのイメージがつきやすくなり、判断に迷わず行動できます。



これは信頼される指示の出し方の基本であり、チームの生産性を上げるコツ。


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💬 ダメな例(伝わりにくい指示)



「できるだけ早く仕上げて」
⬇️ これだと…
- 「早く」と言われても、人によって感覚が違います
- どのくらいの量や内容で「OK」なのかが分からず、判断に迷います
伝わる例(伸びる指示)



「明日の正午までに3案提出し、社内チャットに共有してね」
ポイント
- 期限 → 明日の正午まで
- 量 → 3案
- 提出方法 → 社内チャットで共有
このように数値を入れて指示を出すと、「どこまでやればよいのか」がはっきりして、部下が迷わず動けます。



数値を使った指示は、指示する側も受け取る側もラクになる、シンプルで強力な工夫です。
コツ4:最後にひと言確認するだけで、ミスやズレを防げる
指示を出したあとに「わかったかな?」と確認することで、部下との認識が一致しているかを確かめることができる。
指示を出したあとに、たった一言「ここまでで不明点ある?」と聞くだけで、部下との認識が合っているかを確認できます。
この“ひと手間”を省いてしまうと、あとで「そんなつもりじゃなかった…」というズレが起きやすくなり、やり直しやトラブルにつながることも。
逆に、確認を習慣にしておくと、部下も気軽に質問しやすくなり、チーム内の信頼関係も深まります。



忙しいときほど、「伝えたつもり」にならず、ちゃんと「伝わったか」を確かめる意識が大切です。
実際、PR TIMESの調査では約9割のビジネスパーソンが「お互いの認識確認が重要」と感じていると回答しています。
(プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES)



これをするだけで、思い違いややり直しのリスクがぐっと減りました。
ビフォーアフターで「伝わる言い方」に変えてみよう!
💬 ダメな例(伝わりにくい指示)



「この件、お願い!」(確認なし)
⬇️ これだと…
- 相手が本当に理解しているかどうかが分からない
- 誤解や抜けが起きやすく、後でやり直しになることも
伝わる例(伸びる指示)



「ここまでで不明点はある? 要点を1分でまとめて共有してもらえる?」
ポイント
- 確認を入れることで、理解のズレを防ぐ
- 部下の言葉でまとめてもらうと、きちんと伝わったかをその場でチェックできる



「伝えたつもり」ではなく、「伝わったかどうか」を確かめるのが、信頼されるリーダーの習慣です。




なぜダメ指示は届かない?3つの落とし穴


「一生懸命説明したのに、なぜかズレる…」――そんな悩みは、原因を知れば半分解決したも同然です。
ここでは“ダメ指示”が生まれる3つの落とし穴を整理し、どこを直せば伝わるのかをはっきりさせます。



部下を責める前に、自分の指示の出し方を改善していきましょうね。
ダメ指示1:ゴールが見えないと、部下はどこへ向かえばいいのか迷ってしまう
やってほしいことを伝えるとき、ゴール(目的)がはっきりしていないと、部下は動きづらくなる。
「これお願い」とだけ伝えても、ゴールがはっきりしていなければ、部下は何を完成とするべきか判断できず、動きが止まってしまいます。
「どこを目指すのか」がわからないと、何から手をつけていいか迷い、ミスや後戻りの原因にもなりがち。



ゴールを明確に示すことで、部下は安心して動き出せます。
実際の調査でも、約4割の社員が「上司の指示があいまいで分かりにくい」と感じており、それがコミュニケーションへの不満につながっているという結果が出ています。



目的と完成イメージを伝えるのは、リーダーとして最初にやるべき大切な一歩。
ダメ指示2:「なぜやるのか」がないと、部下はやらされていると感じてしまう
仕事の目的を伝えずに指示をすると、やる気が起きにくくなる。
仕事の目的や背景を伝えずに指示を出すと、部下は「この作業が何の役に立つのか」が見えず、ただの“作業”として受け取ってしまいます。
目的がわからないまま動くと、自分の仕事に意味を見いだせず、やる気が出にくくなるのは当然のことです。
結果として、「言われたからやるだけ」の受け身な状態になり、チーム全体の活気も失われてしまいます。



「なぜ今これをお願いしているのか」を一言添えるだけで、相手の納得感と行動力は大きく変わります。
実際の調査では、「指示が急すぎる」「背景の説明が足りない」といった不満が多く挙がっており、目的を伝えないことが部下のやる気を下げる原因になっていると指摘されています



目的が不明だと、部下は作業をこなすだけになり、動きも鈍くなりました。
ダメ指示3:指示が細かすぎると、部下の考える力を奪ってしまう
やり方まで細かく決めすぎると、自分で考えて動く意欲がなくなります。
「こうして、次はこれをやって、それから…」と細かくやり方まで指示してしまうと、部下は「とにかく言われた通りにやればいいんだな」と受け止めてしまいます。
そうなると、自分で考える必要がなくなり、だんだんと工夫や提案も出てこなくなります。
結果的に、主体性が育たず、「待ちの姿勢」が当たり前になってしまうことも。



部下の力を引き出したいときは、目的やゴールだけを示して、やり方はある程度任せる「余白」を残すことが大切。
ある調査では、社員が自分でやり方を決められるような職場では、仕事への満足度が高まり、行動力や成長意欲も上がると報告されています。



やるべきことだけを伝えて、やり方は部下に任せることも大切。
自発性を引き出す「WHY→WHAT→HOW」テンプレート


「指示を出すのが苦手」「説明が長くなって伝わらない」――そんな方にこそおすすめなのが、“3ステップ”で伝える「WHY→WHAT→HOW」のテンプレートです。
この順番で伝えるだけで、部下の理解度が上がり、自分から動く姿勢が自然と生まれます。



難しい理論ではなく、誰でも使えるシンプルな型なので、ぜひ明日から試してみてくださいね。
ステップ1:WHY(なぜやるのか)を最初に伝える
目的を先に伝えると、部下は「自分の仕事がどう役立つか」を理解でき、やる意味が見えてやる気が出る。
「まずこれをやって、それが終わったら次にこれを…」と細かく手順まで指示してしまうと、部下は「自分で考えなくてもいいんだ」と感じてしまいます。
その結果、ただ指示通りに動くことが習慣になり、次第に自分の意見や工夫を出さなくなってしまいます。
そうした状態が続くと、部下は受け身になり、「言われてから動く」が当たり前の姿勢に変わってしまいます。



本来の力を引き出すには、「やってほしい目的」や「目指すゴール」だけを伝え、やり方はある程度部下に任せる“余白”を意識することが大切。
WHYを語ることで、指示が一方通行にならず、共通目的を持てるのです。
実例
「このプロジェクトは、来月の売上を大きく左右するので、全員で丁寧に取り組みたいです」



最初にゴールを伝えてあげましょう。
ステップ2:WHAT(何をするか)で行動内容を明確に
やることが明確でないと、部下は動かない。
「なぜやるのか(目的)」だけを伝えても、それだけでは部下は動き出せません。
行動につなげるには、「具体的に何をしてほしいのか(WHAT)」をはっきり伝えることが必要です。
やることがあいまいなままだと、部下は「どこから手をつければいいのか」「何をすればOKなのか」が分からず、不安や戸惑いにつながります。
だからこそ、行動レベルまでしっかりと言葉にして伝えることが、スムーズに動いてもらうためのカギになります。



目的だけでは行動につながらないです。
WHATを伝えるときに使える例文
- 例1:企画の案を出してほしいとき
「来週の会議に向けて、3つの新しいアイデアを考えて、簡単なメモにまとめてください」 - 例2:資料の確認をお願いするとき
「A社向けの提案資料をチェックして、誤字脱字や数字の間違いがないか見直してほしいです」 - 例3:問い合わせ対応を依頼するとき
「○○社からのメールに対して、今日中に回答案を作って返信してほしい」
伝え方テンプレート(使い回しOK!)
👉 【目的】+【具体的な行動】+【数や形式】+【期限や方法】
- 例文にすると:
「〇〇のために、□□を●件(または●枚)用意して、△△までに提出してほしい」 - 具体例:
「今月の集客対策として、キャンペーン案を3案まとめて、金曜17時までに共有フォルダにアップしてね」



参考にしてね!
ステップ3:HOW(どうやってやるか)はあえて任せる
考える余白を残すことで、部下は自分で判断・工夫できるようになる。
「やり方」まで細かく決めてしまうと、部下は考える余地を失い、ただ言われたことをこなすだけになってしまいます。
だからこそ、どう進めるかは部下に任せる“余白”を残すことが、自発的な行動や工夫につながります。



全てを丸投げするのではなく、困ったときに相談できるよう「進め方に迷ったら声をかけてね」と一言添えるのがコツ。
HOWを任せるときの言い回し例
- 例1:進め方を自由に考えてほしいとき
「やり方は任せるので、やりやすい方法で進めてみてください。途中で迷ったらいつでも相談してね」 - 例2:納品手段や表現方法を選んでほしいとき
「どの形式(図・文章・資料)でまとめるかは、おまかせします。伝わりやすい形で工夫してみてください」 - 例3:部下の得意を活かしてほしいとき
「あなたのやりやすい手順で進めてOKです。得意な方法で成果が出せると思うので、自由にやってみてください」
伝え方テンプレート(HOWを任せるとき)
👉 【目的や成果】は伝える+【進め方は自由に】という余白を残す
- 例文にすると:
「〇〇の成果を目指してほしいけど、どう進めるかは任せるね。必要があればサポートします」 - 応用例:
「クライアントへの提案をわかりやすく伝えることが目的です。形式や順番は自由に考えてみてね」



信頼して任せることが、リーダーとしての大切な役割のひとつです。
伸びる指示を習慣に変える3つのルーティン


「その場では伝わったと思ったのに、動きが止まっていた…」――そんな経験はありませんか?
実は、“伝える”だけでは指示は完了していません。
日常的に「伝わる仕組み」を取り入れることで、部下の行動は自然と安定し、自発性も高まっていきます。
ここでは、明日からすぐに取り入れられる“3つのルーティン”を紹介します。
- “先に質問”して考える余地を渡す
- 期待を数値で示し共有する
- 振り返りで“良かった点”を即フィードバック



難しい準備は不要。あなたの伝え方を変えるきっかけにしてください。
ルーティン1:“先に質問”して考える余地を渡す
指示を出す前に質問を投げかけると、部下が自分の頭で状況を整理し、考えるクセがつく。
指示を出す前に、まず部下に質問してみることで、「自分で考えて動く」習慣が身につきます。
上司から一方的に指示されるよりも、自分の考えを話したあとに指示を受ける方が、納得感があり、主体的に行動しやすくなります。
また、質問をされることで「信頼されている」と感じる部下も多く、チーム内の関係性にも良い影響を与えます。
実例
「この業務、まず何から着手するとスムーズだと思う?」
→ 部下の答えを聞いてから、「じゃあ、それを○○までにお願い」と指示を出すと、受け入れやすさがぐっと上がります。



質問の回答で部下の理解力がわかりました。
ルーティン2:期待を数値で示し共有する
数値化された目標や基準があると、部下は自分で「到達しているかどうか」を判断しやすくなる。
「いい感じに」「できるだけ早く」などの曖昧な言い方では、部下によって受け取り方がバラバラになり、判断や行動にズレが生じます。
一方で、「3件提出」「5分以内」「A4で2ページ」など、目に見える数値で期待を示すと、部下自身が「どこまでやればOKか」を自分で判断しやすくなります。
実例
「資料をまとめておいて」ではなく
「A社向けに、A4サイズ2ページ以内で提案内容をまとめて、明日17時までに提出してね」
と具体的に伝えることで、部下は迷わず動けるようになります。



目標が明確だと、業務のスピードも精度も安定し、上司に確認する回数も減るので、互いの負担も軽くなりました。
ルーティン3:振り返りで“良かった点”を即フィードバック
部下は「どこがよかったか」「どう役立ったか」を具体的に知ることで、自信を持って行動を繰り返せる。
部下に「ここが良かったよ」とすぐに伝えるだけで、相手の自信は大きく変わります。
特に大事なのは、「何がどう良かったか」を具体的に伝えること。
そうすることで、部下は「またこのやり方でいいんだな」と確信を持ち、前向きな行動を繰り返せるようになります。
実例
「さっきの対応、5分で判断してくれて本当に助かったよ」
「話し方が具体的だったから、お客様もすぐ納得してくれたね」
と、その場で短くてもいいので、良かった点をすぐに伝えるのがポイントです。



日常的にフィードバックを受ける環境は、チーム全体の雰囲気を明るくし、安心してチャレンジできる土台になりました。
場面別:すぐに使える声かけ例


リーダーとして日々直面する「今、どう伝えればいい?」という瞬間。
その場で考えるのは大変ですよね。
ここでは、特によくある3つのシーンを選び、それぞれに合った“伸びる指示フレーズ”を紹介します。
時間がないときでも、この例をサッと思い出せば安心。



自信を持って指示が出せるようになる、クイックリファレンスとして活用してください。
フレーズ1:緊急対応をお願いするときは「背景+安心ワード」を添える
背景と気づかいの言葉があるだけで、部下は納得しやすくなる。
「急いでこれやって!」と頼むと、部下は「なんで今?」「自分ばっかり…」とストレスを感じやすくなります。
でも、お願いする理由(背景)と、ちょっとした気づかいの言葉を添えるだけで、気持ちはずいぶん変わります。
「今どうしても必要なんだ」「あなたを信頼して頼んでいる」という姿勢が伝わることで、部下も前向きに動きやすくなります。
背景と感謝のセットは、急ぎの場面でも信頼関係を守る大切なカギ。
実例
「明日の打合せで急遽使うことになって…今日中にまとめをお願いしてもいい?無理しない範囲で、助かるよ」



背景と感謝のセットは、急ぎの場面でも信頼関係を守る大切なカギ。
フレーズ2:新タスクを任せるときは「期待+成長機会」を伝える
「期待している」「スキルアップになる」と伝えることで、前向きな気持ちに切り替わる。
ただ「これお願い」と渡されると、部下は「また仕事が増えた」と感じてしまいがちです。
でも、「あなたに期待している」「この仕事は成長のチャンスでもあるよ」と伝えるだけで、気持ちは前向きに変わります。
人は、周囲から信じられ、期待されていると感じたときに、本来の力を発揮しやすくなるという心理的効果(ピグマリオン効果)もあります。
実例
「○○さんに任せたいと思ってる。これ、難易度は少し高いけど、今のあなたならできると思うし、成長のチャンスにもなるよ」



任せるときこそ“ひと言”が大切。
フレーズ3:方向転換を伝えるときは「謝意+意図の共有」で信頼を守る
すでに動いていたタスクの変更や中止は、部下にとってモチベーションを下げる要因になります。意図と配慮があるだけで、受け止め方は大きく変わる。
部下が一生懸命取り組んでいた仕事が、途中で変更や中止になると、モチベーションが一気に下がってしまうことがあります。
そんなときこそ大切なのが、「申し訳ない」という謝意と、「なぜ変わったのか」という理由の共有です。
この2つがあるだけで、「上司の都合で振り回された」ではなく、「状況が変わったんだ」と部下も納得しやすくなります。
実例
「せっかく進めてくれていたのに申し訳ない。上層部の方針が変わって、急きょ優先順位を入れ替えることになったんだ。今後の流れを一緒に整理させてください」



相手への配慮と説明は、信頼関係を守るための重要なひと手間ですよ。
部下が自走する環境づくりの仕組み


どれだけ言葉を工夫しても、「動かない部下」にはモヤモヤしてしまいますよね。
ですが、部下が動かない理由は“やる気のなさ”ではなく、“仕組みのなさ”かもしれません。
ここでは、部下が自ら動けるようになる「環境づくり」の工夫を3つ紹介します。



リーダーの指示が少なくてもチームが回る状態を目指して、少しずつ取り入れていきましょう。
工夫1:チーム目標は“絵”で共有する
目標が文字だけではイメージしにくく、日々の業務とのつながりが見えづらくなる。
「目標はこれです」と文字で伝えるだけでは、部下にとってはピンとこなかったり、日々の業務とどう関係するのかが見えづらくなりがちです。
そこで効果的なのが、目標や役割を“目で見てわかる形”で共有すること。
たとえば、チーム全体の目標とメンバーの担当を図やイラストで描いてホワイトボードに貼るだけで、「自分は今ここを進めている」とイメージしながら仕事ができるようになります。
視覚化することでチーム全体の意識がそろいやすくなり、連携やモチベーションも自然と高まります。
実例
「今月のゴール」「各自の役割」をホワイトボードや壁に図やイラストで表示し、全員で確認する。



視覚化することでチーム全体の意識がそろいやすくなり、連携やモチベーションも自然と高まりました。
工夫2:アサインメントボードで「誰が・何を・いつまでに」を見える化する
情報が可視化されていないと、部下は「何を自分がやるのか」「他の人はどうか」が分からず、自分から動きにくくなる。
仕事の割り振りが口頭だけだったり、メモ程度でしか共有されていないと、部下は「自分が今なにを担当しているのか」「誰が何をしているのか」が分かりづらくなります。
その結果、自分から動くのが不安になったり、無駄な確認や待ちの時間が増えてしまいます。
そこで効果的なのが、アサインメント(担当業務)を“見える化”する仕組み。
実例
ホワイトボードや付箋、共有スプレッドシートを使って、「進行中/完了/保留」のステータスを見える形で管理し、毎日チームで共有する。



誰が・何を・いつまでにやるかを一目で把握できるようにすることで、チーム全体がスムーズに動けるようになります。
工夫3:1on1質問リストで“考える習慣”を育てる
「何を聞けばいいか分からない」という状態を防ぎ、定期的に振り返ることで部下自身が自分の課題を意識するようになる。
部下との1on1ミーティングは、ただ話すだけでは意味がありません。
大切なのは、「自分のことを振り返る時間」になるようにすることです。
でも、部下の中には「何を話していいか分からない」「聞かれないと話せない」と感じている人も多くいます。
そんなときに役立つのが、あらかじめ用意しておける質問リストです。
実例
以下のような質問を使って、定期的に1on1を行いましょう
- 「最近うまくいったことは何ですか?」
- 「今、何に悩んでいますか?」
- 「どうすればもっとやりやすくなりますか?」
こうした問いかけを続けることで、部下自身が課題や成長ポイントに気づけるようになっていきます。



質問の型があることで、1on1がスムーズに進み、部下も少しずつ“自分で考える習慣”がついてきます。


【FAQ】
ここでは、部下への指示に関してよくある悩みと、それに対する具体的な質問と回答をご紹介します。
- 指示を出すとき、優しすぎて遠慮してしまうのですが大丈夫ですか?
-
遠慮する気持ちは理解できますが、大切なのは「伝える」ことよりも「伝わる」ことです。やさしくても的確な指示であれば問題ありません。ポイントは、相手に誤解なく伝わる言葉を選ぶことです。
- 指示した後、確認するのはしつこいと思われませんか?
-
しつこいのではなく、むしろ信頼関係を築くうえで必要な行動です。確認することで、指示がちゃんと理解されているかを確かめられ、お互いの認識のズレを防げます。
- 部下のほうが仕事ができると感じてしまうとき、どう指示すればいいですか
-
そのような場面こそ、率直なリーダーシップが試されます。「任せる力」を活かして、目的や方向性を示すことで、相手を尊重しつつリーダーとしての役割を果たせます。
- 同じことを何度も伝えるのがつらいです。どう対応すればよいですか?
-
繰り返しが必要な場合は、指示の仕組みを見直すチャンスです。伝え方や伝える媒体(メモやチャットなど)を変えることで、理解度がぐっと上がる場合もあります。
- 自分の言葉が自信なさそうに聞こえる気がします。改善できますか?
-
自信は言葉そのものよりも「言い切り方」に表れます。語尾をあいまいにせず、はっきり言い切るだけでも印象は大きく変わります。練習を重ねれば、自然と自信ある話し方になりますよ。
- 部下から質問されてもすぐに答えられないとき、どうすればいいですか?
-
無理に答えようとせず、「一度整理して確認しますね」と伝えるだけで大丈夫です。完璧な答えよりも、誠実な対応のほうが信頼を得やすくなります。
- 一度伝えたあと、部下の進捗が気になるのですが、見守るべきでしょうか?
-
見守ることも大事ですが、放置になっては逆効果です。適度なタイミングで「様子どう?」と軽く声をかけるだけでも、安心感を与えることができます。
- 指示が重く受け取られてしまうのが怖いです。どうしたらいいですか?
-
「お願い」の形で伝えることや、「あなたならできると思っている」といった信頼の言葉を添えるだけで、受け取る側の感じ方は大きく変わります。
- 忙しい中で丁寧に伝える時間がないとき、どうすればいいですか?
-
忙しいときこそ、事前にテンプレートや伝達用の言葉リストを用意しておくと便利です。一度まとめておけば、短い時間でも効果的に伝えられます。
- 指示をしても反応が薄く、手応えが感じられません。どう接すればいいですか?
-
反応が薄い場合でも、表に出ないだけでしっかり受け取っていることがあります。不安なときは、「気になることある?」と一言添えてみると、心が開かれることもあります。
まとめ:今日から“伸びる指示”に変える3ステップ


この記事の大事なポイントをまとめます。
- 指示が伝わらない原因の多くは、目的や期限が曖昧なことにあります。まずは「いつまでに何をどうしてほしいか」を明確に伝える。
- 「WHY→WHAT→HOW」の順で伝えると、部下が納得して自ら動きやすくなります。特に最初の“なぜ”が行動の原動力になる。
- 指示を出す前に質問をしたり、期待を数字で示したりすることで、部下の主体性が育ちやすくなる。
- 緊急時や方向転換の場面では、「理由と気づかいの言葉」を添えることで信頼を保ちながら伝えられる。
- 伝え方の工夫だけでなく、「仕組みや環境」を整えることが、部下が自発的に動ける土台づくりにつながる。



ぜひ参考にしてみてくだね。




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